コンピュータが 2D グラフィックスを扱うしくみや、画像処理に関する基礎知識を身に付けられる本。
著者は、FireAlpaca というペイントツールの開発チームで、デザイナーとプログラマーの両方をよく理解した解説になっています。2D グラフィックスを作成するデザイナー、2D 画像をあつかうプログラマーのいずれにとっても、価値ある入門書になっていると思います。
まず序盤で、ピクセル、色の表現(RGB など)、ビットマップ形式とベクター形式の違い、画像フォーマット、画面解像度といった、コンピュータグラフィックスに関する基本的な知識を総ざらいします。
その後、点を描画するしくみ(画面上のある位置と、メモリがどう関係しているのかといった話)を確認します。点が打てれば、ほかの図形も描けるということで、直線や曲線、円などを描くアルゴリズムを解説します。また、半透明や画像合成、アンチエイジングといった話題にも触れます。文章や図解でしくみの解説を行ったあと、C言語を使ってソースコードに落とし込んだものが掲載されています(アルゴリズムの部分をコード化したというだけで、そのまま実行できるようなものではないですが)。
そして、拡大・縮小、回転、変形、ガンマ補正、モザイクやフィルタ処理といった画像処理の話題に入ります。ここも、文章と図解で仕組みを解説したあと、C言語でコード例を示すかたちを採っています。
最後に、ペイントツールが画像を扱うしくみ(たとえばレイヤー構造の実現)に触れる章で締めくくられています。
画像処理の解説書はやや硬めで難解なものが多いですが、本書はとても易しく丁寧に書かれています。難易度は抑えられていて、たとえば処理の効率を改善する最適化の方法のようなことにまでは踏み込まず、基本的な理屈までに止めています。その分、広く話題を取り揃えているので、この分野の基礎知識を身に付けるのに適していると思います。
C言語まで登場するので、プログラミングの未経験者には難しく感じられる部分もあるかもしれませんが、しくみの解説部分は易しいので、その部分だけでも十分勉強になるでしょう。
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